鳥を見る

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 家の屋根にコンクリートの煙突が立つ。とうに本来の役目は終え、今は絶好のバードテーブルだ。屋根を汚すと女房には不評だが、隣の工房の窓から集まる鳥を見ていると、時を忘れる。
 バード・ウオッチングが流行し始めたころには「そんなこと、人にやってみろ、気味が悪い」と斜に構えたものだった。そういう決めつけが私の悪い癖だ。今ならバード・ウオッチングに夢中になる人の気持ちも分かる。
 カラスが来る。横柄な態度で振る舞っている。自分が一番偉いと思っているのかもしれない。
 トビも来る。近くで見ると、なかなか見栄えがする。「鳶(とび)の子、鷹(たか)ならず」なんて嫌な言葉があるように、タカと比べられたのは不幸だが、カラスでさえ、目前に迫られると二歩三歩と退く。
 ハトは夫婦で来る。夫婦かどうか確かめるすべはないが、そう見える。ハトの夫婦は、どうように結びつき、どれほどの期間を共に過ごすのだろう。むつみあう様子に、そんなことを考える。
 だが、実のところトビもハトもどうでもいい。作品展が近いのに、いいアイデアが浮かばない。カラスにばかにされているように感じるのも、きっとそのせいだ。
 まさか、鳥に悩みはないだろう。「鳥はいいなあ」と、また窓の外を見る。

(2009年4月11日 北海道新聞 朝の食卓に掲載)

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