レッドクリフについて少々

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 レッドクリフを観た。大ヒットだというが、さもありなん。封切3週間後の夜だったにも関わらず観客は少なくなかった。期待するとはずすジンクスを勝手に作ってしまったので気がもめたが杞憂だった。監督のジョン・ウーが自信たっぷりにゆったりと演出し堂々とした作品に仕上がっていた。大傑作とは言えないまでも標準ははるかに超える。ともかく2時間30分をだれないで観せきった。たいしたものだ。三国志演義と比べてどうのこうのとうるさい人には言わせておけばいい。これはレッドクリフなのだ。

 ジョン・ウーもそろそろ60歳になるのだろうか、かってはけれん味を照れることなく力技で押し切ると言う印象があって、出世作「男たちの挽歌」でも鼻につくような臭い芝居を銃弾でけむに巻いてみせた。そこが好き嫌いの分かれ目でもあるのだが、そもそも力のある監督だったからハリウッドでも成功したのだろう。97年の「フェイス/オフ」など脚本、出演者と三拍子揃った傑作だった。レッドクリフでも相変わらず白鳩は飛ぶが映像からはすでに巨匠の風格も漂う。

 主演は周瑜役のトニー・レオン。ほぼ同格の諸葛亮役の金城武ともにいささか線が弱い気がする。そこがいいのだと言われればそれまでだが八卦の陣の指揮をとるシーンなど大写しの顔貌がどんな感情を表現したいのかさっぱり読み取れなかった。大将軍、大軍師たるものそう軽々に表情を変えないという演出であったとしてももう少しめりはりがあってもいいような気がする。ファンに気を使うわけだが「LOVERS」の金城武、「インファナルアフェア」のトニー・レオンはよかった。役柄を理解しないはずはないのだからひょっとして見誤りだったら謝るのもやぶさかではない。

 小喬のリン・チーリンは映画初出演ということだがチャン・ツィイーの姉といった感じでなかなかよかった。往年の日活ロマンポルノにいたような女優さんだ。そう思って観ると何か濡れ場もロマンポルノ風で日本からの資金参加も多いことだしそんな意識もあったのかもしれない。
 
 趙雲の胡軍はもうけ役だ。冒頭、劉備の息子を単身、助け出す戦闘シーンのかっこよさと言ったらなかった。全編を通しても一、二を争う印象的なシーンではないだろうか。その他、ヴィッキー・チャオも元気でよかった。中村獅童は後編で活躍するはずの役どころだから期待したい。

 いずれにせよ赤壁の戦いがそっくり後編に持ち越されたわけだからこの前編はいわば壮大な予告編に過ぎない。
 ジョン・ウーの演出に不安はないし、作品自体にも力がある。
 来春が待たれるところだ。

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