趣味のことなど

趣味のことなど

105円の至福

昔、古本屋はなかなか敷居の高いところだった。 立て付けの悪い引き戸を開けて、中に入ると奥の番台から下半身を毛布に包んで読書に熱中していたらしい白髪の親父にじろり、眼鏡越しに値踏されて、そこから先へ足を進めるにはちょっとした勇気が必要だった。...
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次郎長三国志についてはいさヽか辛口で

マキノ雅彦の次郎長三国志を観た。 観たといっても、DVDを居間のテレビで再生しただけのことだからたいして威張れるわけでもない。 もっとも前作、初監督の寝ずの番は息子に唆かされて、映画館で観た。思ったより出来がよかったのでこの作品も実は映画館...
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40年ののち 2

私は佐伯の絵に納得し、幸福な蜜月は続いた。 佐伯のすべては書物として手の内にある。目をつむれば記憶に残る絵は容易に脳裏に浮かんだ。 私は佐伯のパリ以前初期の絵が好きだ。秀才らしい端正な絵。 自画像が多いのは自意識が過剰だったせいか。 自画像...
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40年ののち(佐伯祐三展で思い出したことなど) 1

佐伯祐三全画集という本を持っている。朝日新聞社が1200部限定、番号入りで出した。私の本は553番だ。 昭和54年11月の発行だから私は32才、当時私には本屋に友人がいて、ほしいと思えばいくらでもつけで買えた。そんな事情もあったわけだけれど...
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ライター

煙草が今日ほど嫌悪されなかった時代、ライターはちょっと気をそそる小道具だった。海外旅行のみやげとしても、洋酒と人気を二分していたのではなかったか。 デュポンとかダンヒルとか高級なライターは蓋をあける音からして違う。なんといおうか、軽やかな量...
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レッドクリフⅡについて少々

失敗のしようがない映画というのがあるような気がする。 たとえば日本でなら忠臣蔵。あらすじは皆が知っている。皆が好きで映像で観たい気持もある。今度の吉良はあの役者かなどと出来る前から盛り上がる。金をかければかけるだけ大作にもなるだろう。 しか...
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マンマ・ミーアについて少々

女房のリクエストでマンマ・ミーアなる映画を観に行って来た。 1999年、ロンドンで初演以来、全世界170都市で上演、3000万人以上を動員したという大ヒットミュージカルの映画化だったらしい。 息子はこの人らしく降りると一言、大勢に流されない...
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レッドクリフについて少々

レッドクリフを観た。大ヒットだというが、さもありなん。封切3週間後の夜だったにも関わらず観客は少なくなかった。期待するとはずすジンクスを勝手に作ってしまったので気がもめたが杞憂だった。監督のジョン・ウーが自信たっぷりにゆったりと演出し堂々と...
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読書依存症

読書家という職業がないので仕方なく陶芸家をしているが、本を読んで暮らしがたつならどんなに幸せだろう。 子供の頃から本ばかり読んできた。本を読んでいると楽しかったし幸せだった。私はいじめられっ子で毎日のように泣かされていたから現実からの逃避だ...