ツイてる

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 たとえば、朝、町に向かって車を走らせていると、まるで待ち構えるように信号が目の前で青に変わる。
 一つや二つではままあることかもしれないが、三つ目になるとおやっという気持になるだろう。
 四つ続くと、おゝ今日はツイてると誰だって思うはずだ。
 五つ目の信号で一息ついて、なにげなくラジオのスイッチを入れるとちょうど天気予報の最中でこの地方は今日は一日、快晴だと言っている。
 雨が好きだなんて男の気を引こうとする女のたわごとでからっと晴れた青空がうっとうしいはずがない。
 駐車場に車を入れるとけっこう混んでいる様子だがさてっと思案するまでもなく目の前から大型車が走り出る。
 エレベーターは戸を開いて待っていたし、商談はこちらから切り出すまでもなく、思いのほか、好条件でまとまった。
 今日はツイてる。
 もっとも朝方のツキが一日中続くなんてめったにない。
 だいたい当人が昼食を喰うころにそんなことは忘れている。
 しかし、たいして選ばずに入った店のラーメンが意外においしく、支払いのときには、開店3周年のお祝いなのでと、次回半額のサービス券をわたされたりすると、おっと朝のツキを思いだす。
 今日はツイてると思うせいか、本当にツイているのか、いい気分でこなす仕事は普段の倍も進んだし、夕方のかえるコールには、気をつけて帰ってきてね、今晩はお父さんの大好物よと機嫌のいい女房の返事。
 こんな日だってたまにはあるんだ。
 今夜は女房とビールを飲んで、それからフ、フ、フ・・・。

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