今、私たちはことわざを合体させる、ことば遊びに熱中している。
たとえば今日の政治状況を一寸先は闇夜の鴉と表現する。一寸先は闇と闇夜の鴉を尻とりでつなげたわけでなにか意味ありげなうさんくさい感じが気に入っている。
女房だって、ケーキをいただいたぞと家に持ち帰ると両手に花より団子だわと飛びつくわけでお互い、相当はまっているのだ。
負けるが勝ち馬に乗るとか喪家の狗も西向きゃ尾は東とか石の上にも三年寝て待つなど、その間に出来た傑作も少なくない。
その日、私たちは病院の待合室で額をくっつけるようにして悩んでいた。しかし別に深刻な病気が発見されたわけではない。
尻とりでことわざはどのぐらいつながるものかと考えていた。
仏の顔も三度…三度目の正直…正直者は馬鹿を見る、もう小一時間も待たされているはずだがまるで気にならなかった。
前の方にもつくんじゃないと女房。
そのヒントで上の方に聞いて極楽見て地獄と地獄に仏の2つをくっつけることができた。これで5つのことわざがつながったことになる。大満足でうなずいたところで、とうとう名前を呼ばれてしまった。
その途端、見るは目の毒という、ことわざがぱっと浮かんだ。これで6つだ。まだまだ続けていけるかもしれない。どうだろう。
(北海道新聞 朝の食卓 2010年10月2日掲載)
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